あ、そっか。
言いたいことなんて全部頭のなかでシミュレーションしてるつもりなのに、彼を前にするとうまく言えなくて。
伝えたい気持ちも空回りばっかりで。
そのくせそばを離れたくないってわがままで。
真っ白な思考のなかで浮かぶ言葉なんてひとつしかない。
これが、私が彼を想う証拠。なんでしょ?
「相楽くん、」
「うん」
「…相楽くん、」
「ん」
ああ、だめだ、もう無理だ。
私、自分が思うよりずっとずっと、相楽くんのことが。
「私、相楽くんが、すきです」
好きでたまらない。相楽くんのことが。
悔しくてもやもやするのにさ、それでもやっぱり一番に見たいのは相楽くんの笑顔。
もっとシンプルに考えるなら、今日も明日も明後日も、一番に会いたいのは、目の前で驚いた顔をしている相楽くんなんだ。
“好き”って伝えたい瞬間、胸の奥がぎゅって締めつけられて、それなのに妙に温かくなって、自然と笑顔がこぼれた。
「相楽くんが、すきなの」
「……みっちゃん」
「すきです」
何度伝えても、伝えきれないな。全部全部、相楽くんのことが好きだから。



