外は空気が体に馴染む。荷物は店に置いてきたからか軽いけど、走るには寒すぎる。さっきより温度が下がっていることはわかるのに、走るスピードを緩めなかったのは気持ちが逸るせい。
私ってこんなに積極的な性格だったかな?
ただ曲がったことが嫌で、もやもやと悩むことが嫌で、気持ち全部を伝えたいって思うきらいがあって……。まっすぐでいたいとか純粋に笑えたら、こんなに気難しい性格じゃなかったかもしれないのに。
私はやっぱり、迷って何かを悩むほうが好きだ。
だってそのほうが…“誠実”に近い気がするから。
「相楽くんっ、」
嫌なんだよ。このままで終わるのは。
すこしでも、ううん、ちゃんと好きだって気づけたんだから、伝えないまま終わるのは嫌。もし今伝えなくて、明日には彼に大切な存在ができてしまったら?それこそ私は自分が嫌になる。
「……はぁっ、はあ、」
息が切れるし、足ガクガクだし、めっちゃ寒いし、なんか知らないけど視線が痛いし、バイト前なのに全速力出しちゃうし。それでも、頑張る理由が相楽くんだから。篠田さんから無理を言って聞き出した住所まで一生懸命走る。
全部全部、そこから始める。



