「護衛隊の副長を、現場に向かわせました。現場の状況の報告が上がってき次第、王様に報告致します」
すぐ隣に膝まついているのに、風はわざと大きな声で言った。
「…あぁ」
短く返事をすると小さな溜め息をつき、心を落ちつかせる。
「それまでは大臣方も、独自のルートで情報収集をお願い致します。報告は、私へお願い致します」
風は立ち上がり、大臣たちに向かって言った。
「王様、そろそろ…」
「あぁ…」
老婆が背後から耳元で、"一度、王室に戻りましょう"言った。
呆然としてしまっていた意識を戻すと、席を立った。
席を立つと、ざわついていた大臣たちは静まり、膝まついた。
コツコツとヒールの音を立て、扉に向かって歩き出す。
すぐ右後ろを風、その左後ろに老婆が付いてくる。
「…これじゃあ、どっちが王様かわからないじゃないか」
「!」
一人の大臣の横を通り過ぎた時に、聞こえてきた言葉。
風と私のことを言っていることは、すぐにわかった。
「王様に向かって何てことを!!」
老婆にも聞こえたらしく、その大臣に向かって怒鳴った。
「…いい。今は、それどころじゃないだろう」
右手を挙げ、老婆を制止させた。
そして、大臣たちに向かって振り返った。



