姫は王となる。





大臣たちの席よりも一段高い、王様の席。
席に座ると、大臣たちも席に着いた。

風は王様の席の右側に立ち、老婆は一歩後ろの左側に立った。


「お忙しい中お集まり頂き、有り難うございます。この度、護衛長として任命されました風です。今日お集まり頂いた理由は、先日の王様暗殺未遂についてです」



ザワザワ…


風が声を張りそう言うと、大臣たちはざわつき始めた。


「実行犯は、5人でした。そのうちの一人を捕まえ、今は城の牢屋にいます。暗殺未遂から一週間、私がその者を聴取したところ、国土大臣と裏で繋がっていたことが判明しました」

ザワザワザワ…


さっきよりもさらに、大臣たちがざわつく。



「実行犯の残りの4人は今、隠密が追っています。現時点での報告では、北国と国土大臣が繋がっているかもしれないと。その国土大臣は城から姿を消し、今は行方を追っています」


隣に立つ風は堂々と喋り、護衛長としての務めを果たしている。



…すごい。



ボーッと風を見ていると、後ろから"ゴホン"と老婆の咳払いが聞こえた。


"見てるな"


そういう意味だと思い、慌てて顔を大臣たちに向けた。