「待てっ…そのクローゼットに触れるな!!これは王命だ!!」


メイド達に向かってそう叫ぶと、クローゼットを開けようとしていたメイドがビクッと跳ねた。


「…いい。私の指示に従いなさい」

「母様!?」

「開けなさい」


母様が命令すると、メイドは戸惑いながらもクローゼットを開けた。



そこには、風との結婚式で着る予定だったウェディングドレスが入っているのに!!


「やめてっ…捨てないで!!」



風との思い出を消さないで!!!













「誰が捨てると言いました?」






…え?





クローゼットに駆け寄ろうとした足が、一歩踏み出したところで止まった。





"誰が捨てると言いました?"



母様の声でそう聞こえた。



だったら、何でー…