「老婆」

「はっ」


母様は真っ直ぐと私を見たまま、後ろにいる老婆に指示を出した。



何ー…?


すると老婆は王室の扉を開け、いつも支度を手伝ってくれているメイド達を王室に入れた。

「なっ…勝手なことするな!」
「花蘭!!」


ビク!


"出て行け"と言おうとしたが、母様に大きな声で名前を呼ばれ口を閉じた。



「老婆、言った通りに」

「はい。お妃様」

老婆が指示を出すと、メイド達は王室の奥に向かった。



「!」


何故、そっちにー…



メイド達を目で追い、どこに向かうか確認する。
すると、メイド達が止まったのはクローゼットの前。


「…」

なぜ…

クローゼットの前で止まったメイド達を凝視する。




なぜ、クローゼット…?




凝視していると、メイドの一人がクローゼットを開けようとしているのが見えた。


「…」


そのクローゼットには、風との結婚式で着る予定だったウェディングドレスが入っている。



…まさかー…


目の前にいる母様を見ると、クローゼットの方向を見ている。




まさかー…





ウェディングドレスを捨てる気?