姫は王となる。





「王子…いや、カイト。不法入国したという自覚はあるのか?」

溜め息をつきながら言うと、カイトは立ち上がりソファーに座った。

「不法ではないですよ。国境にある警備兵の許可は頂きました。最初に言った通り、護衛兵を連れてきては警戒されると思って、身ひとつで来ました」


笑いながら言うカイトを見て、本当に王族なのかと疑ってしまう。


「カイト様、本日こちらに参られた理由は何でしょう?内容によっては、今すぐに強制送還という形を取らせて頂きますが…」

抑揚のない声で話す風。
その声のトーンで、西国の第4王子だとカイトは挨拶をしたが、まだ疑っているという感じに聞こえる。









「…やっぱ、邪魔だな。お前」


「!」


目の前に座るカイトは、私の後ろに立つ風に向かって言った。



…また、風を邪魔ってー…



風に対するカイトの言葉に、怒りで身体が震える。