ﾄﾞｸﾝ。
まさか、風が護衛長を辞めたりー…
ﾄﾞｸﾝ。
不安が先に脳裏を過り、心臓がバクバクする。
「…っ。風…」
護衛長を辞めたりしないよね？
そう聞こうと思い、風と目を合わせるとー…
「花蘭様、笑ってください」
優しい表情で笑った風と、目が合った。
「…え？」
なぜ、今ー…
泣いている今、突然笑ってと言われても…
ポカンと、風を見つめているとー…
「花蘭様が王位を継承されてから、一度も笑顔を見ていないことに気付いたのです。だから、笑ってください」
今後のことを見直すって言って、私が王位を継承してから笑ってないことに気付いた？
「…え？」
どうしても意味がわからず、涙は止まったが笑顔にはなれない。
