「いや、いい…」
と、いつものように老婆の発言を止めようとしたがー…
「王様、優しさと敬意を払うというのは違うものです。貴方様はこの国の王で在られる。ですから、何があろうと王様よりも偉い者はおりません。よって、国民が敬意を払うのは当たり前…本来であれば、王様に対してそのような言葉使い、処罰の対象になるのですよ」
老婆がそう長々と喋ると、それを聞いた子供たちは真っ青な表情をした。
子供たちを叱っているように聞こえるが、この言葉はきっと私に対して言っている。
「…老婆には勝てないな」
小さな声でボソッと言うと、涙を拭った。
「確かに、私はこの国の王である。しかし私の考えは、王族であれ護衛たちであれ、国民たちであれ…皆、大切な命なんだ。命を守る優先順位などない。守れる命は、守らなければならないと思っている」
47人の村人たちが埋葬されたお墓を目の前にし、私は言葉が出なかった。
突き付けられた現実、守ることができなかった命、それは私の責任だ。
「けど今回、国境近くの村が襲われ、私は47人の命を犠牲にしてしまった。お前たちの両親もその中にいたんだろう?」
子供たちにそう問いかけると、小さく頷いた。
「死んでしまった者は、二度と帰って来ない。犠牲を出してしまったということは、取り返しのつかないことをしてしまったということだ」
父様も兄様も、もう帰って来ることはない。
あの時もし風も死んでしまっていたら、私はこうして王として頑張れただろうか?
「この国の王として謝罪したい。…申し訳なかった」
子供たちに向かって、深く頭を下げた。
きっとまた後で、老婆に叱られてしまうだろう。
風も、この姿を見たら止めるだろう。
しかし、死んでしまった者を生き返らすことはできない。
私にできることは、残された子供たちに謝罪し、子供たちの未来が幸せになるようこの国を守っていくことだけだ。



