僕を知らない唯ちゃんは、目を合わせる事もなくペコリと頭を下げて

年少組の席に戻った。

「今日はお鍋にしようか?
唯ちゃん、何が食べたい??」

同じく年少組の梓先生に聞かれて

「ウインナー。」と答えている。

「唯先生は、またウインナー?
野菜も食べないと大きくなれないよ。」

悠人先生のからかいに

「お野菜だって、食べてますよ。
今朝だって大根のお味噌汁を作って食べたから
ちょっとは大きくなったはずです。」と返事を返して笑ってた。

えっ!

あの唯ちゃんが、男と話して………笑ってる。

朋といる時、確かに笑っていたから………

話すことも笑うこともできるはずだけど………

こんなに嬉しそうに笑って話す姿を見るのは、初めてだ。

…………………………もしかして…………二人は付き合ってる??

またしても、再会した日に失恋か…………と落ち込んでいたら。

「新人君、唯ちゃんはいまのところフリーだから
頑張んなさい。」と

さっきと同じに、人の悪い笑顔を見せた海晴先生が

隣から話しかけてきた。

この人は、今日合ったばかりの僕の気持ちが分かるのか?

不思議に思いながら、曖昧に笑ってみた。