とりあえず歩きながら予定を思い浮かべる
朝から訪問がいっぱいでこっちに戻るのは
早くても夕方…そして帰った頃には会議…

うん、どう考えても残業コースだ


やっぱり無理だと彼にメールをしよう
カバンの中にあるはずの携帯を探して
今日は玄関に置いてきたことに気づく


あぁ…今日は全部駄目な日だ…


肩を落としつつも足は会社に向かう
もう何年も歩いた道だから
きっと目を瞑ってても辿り着く


なんて馬鹿なことを考えつつ着替えを済ませ
始業15分前に席につく
いつもなら、の話だ


「和田さん
今朝話をしていた案件ですが
やはり今日は難しいので
また後日にしてくれと
先方から連絡がありました」
あくまで仕事の話を装う
時々2人の中では使う手だった
他の人もいるフロアでプライベートな話は
可能な限り避けたい
そこは彼も同じなはず


「いや、難しいのは百も承知だが
これは急ぎの案件だ
時間は合わせるから今日にして欲しい…
と先方にお伝えしてくれ」
ただ今日だけは違ったようだ
彼の目が逃さないと言っている


「わかりました、再度連絡してみますが
先方の都合もありますので
返事はのちほどさせていただきます」
どうしたものか…これはお昼休みに
作戦を練り直すしかなさそうだ