「あれ?
いつも電車通勤じゃないのにどうしたの?」
平静を装う


動揺がバレないように
あなたへのきもちがバレないように


なのに
「今そんな話をしにきたんじゃない」
少し怒った顔
初めて見た


「今日の夜時間作って
話したいことがある」


「そんなの突然困るよ
今日は定時じゃ上がれないし…」


「突然じゃない
水野の携帯に何回も電話入れたのに
電源切ってただろ」
やっぱり連絡きてたんだ
電源切っててよかった


「充電切れかな…ごめんね」
笑いながら言うも彼の顔は怒ったままだった


「とりあえず今日の夜いつものとこでな」
そう言って彼は先に会社に向かって歩いて行った


「行けないよ…」
私の弱々しい声は彼に届くはずもなかった