それから1ヶ月はあっという間だった


仕事の早い和田くんが抜けた穴を
プラスで埋めるために奮闘した

そろそろ、帰ってくる
みんなでそう言いながら…

だが、想像とは違っていた


「和田だが、出張が延びることになった
いつ帰ってこられるかわからん」
部長が険しい顔をして言う
みんなも落胆の色が見える


「まぁ、和田も忙しいんだと思いますし
みんなも和田に負けないくらい
頑張りましょうよ」
神田くんがみんなを励ますように明るく話し
他のみんなも口々に「そうだな」と言う

本当に神田くんはいいムードメーカーだ


でも…そっか
和田くんはまだ帰らないのか…
私も少し残念

「おい、水野も落ちてんのかよ
しっかりしろよー」

「はいはい、わかったわよ」
このまま暗い顔してたら神田くんに
何言われるかわからないから
とりあえず気合いを入れ直して
それからの業務に当たった



そして午前中の業務を切り上げて
席で昼ご飯を食べている時だった

突然、強烈な吐き気に襲われたのだ
せり上がってくる異物をどうにかしようと
試みるが全く効果はなく


私は急いでトイレに行って異物を吐き出した


トイレの床に座り込みながら、耐える
頭は真っ白だった

少しして冷静になってから
昨日食べた物を考えるが
そんな変な物を食べた記憶もない

思い当たる節は、ひとつ


ーーー妊娠…?