それからは真央の家に居候することになった
私は仕事の合間を縫って自宅の私物を
真央の家に運んだ


玄関に置いた携帯をどうしようか迷ったが
「連絡とれないと最悪家に入れないかもよ」
と、家主が言うから持ってきた


携帯を充電して電源をつけてみると
彼からの着信履歴が7件もあった
日付をよく見るとあの日の朝に5件
それ以降も毎晩着信がある

電話にでる勇気はないけど、嬉しい
そう思う私はきっととても狡くて
とても嫌な女なんだろうな


今日も20時頃に電話がかかってきた
真央の家のリビングでテレビを見ながら
2人でお酒を煽っている時だった


「出なくていいの?」
真央が聞いてくる

「うん、どうしようもないし…」
2人の間に沈黙が流れる

しばらくすると着信がやんだ
私はため息をついて携帯を見ると
やはり彼からの着信だった

仕事用の携帯にかけてこないくらいには
分別のついた彼でよかった
そちらだとどうしても出なければいけない


「慶はどうしたいの?」

「…どうしたいんだろね」
携帯を机の上に置いて答える