それからはもう進路変更することしか考えられなくなっていた。
陸上は高校まで。大学では学びをしたいと。
スポーツで進学しないと決めたからには受験勉強に精を出すしかない。
ただ、そのことを千夏に告げられないでいたままになっていたのだ。
千夏は俺が地元の大学に進学すると思っているから、来年も遠距離恋愛にならないで済むと喜んでいたし、共に陸上を続けることを望んでいたから。
ずるずると言わずにいたら彼女が故障して言えなくなってしまったのだった。
それに桜花の見舞いもありますます彼女と会えなくなってしまっていたことは否定できない。
千夏の方も俺を避けていたし。
故障してインハイでまともに走れなかったことを自分の中で消化できず、もがいているようだった。
その気持ちは同じアスリートとして俺にもよくわかったからこそ無理して彼女に会うことをしなかった。
陸上が大好きなのに故障して跳べない千夏と走れるのに走らない選択をした俺。
どんな顔をして彼女に陸上を辞めたと言えばいいのか・・・わからなかった。
思えばそれがよくなかったんだ。俺は逃げていた。
その時はそれが正解だと思っていた。
あの時、千夏は一体何を思っていたんだろう。
千夏がいなくなったのはそれから一ヶ月もしないうちだった。
陸上部のグループラインに届いたメッセージはいきなりだった。
『突然ですが、父の仕事の都合で昨日で学校を辞めました。今日、県外に引っ越します。みなさん、今まで本当にお世話になりました。ちゃんと挨拶もしないでごめんなさい。逃げてごめんなさい。皆さんのことは忘れません。 千夏』
目の前が白くなった。
なんだこれ。
俺は何も聞いていない。
どういうことだよ、聞いてないぞとすぐに送ったメッセージも電話も彼女に届くことはなかった。
ラインはブロックされたのかアプリを削除されたのか。スマホの電源も入っていない。そのうちに携帯も解約されてしまったらしい。
誰も彼女の居場所を知らず、彼女の担任は口止めされていると言って県外に出たとしか教えてくれない。
俺個人に宛てたメッセージもなくーーー彼女は俺の前から完全にいなくなってしまった。
陸上は高校まで。大学では学びをしたいと。
スポーツで進学しないと決めたからには受験勉強に精を出すしかない。
ただ、そのことを千夏に告げられないでいたままになっていたのだ。
千夏は俺が地元の大学に進学すると思っているから、来年も遠距離恋愛にならないで済むと喜んでいたし、共に陸上を続けることを望んでいたから。
ずるずると言わずにいたら彼女が故障して言えなくなってしまったのだった。
それに桜花の見舞いもありますます彼女と会えなくなってしまっていたことは否定できない。
千夏の方も俺を避けていたし。
故障してインハイでまともに走れなかったことを自分の中で消化できず、もがいているようだった。
その気持ちは同じアスリートとして俺にもよくわかったからこそ無理して彼女に会うことをしなかった。
陸上が大好きなのに故障して跳べない千夏と走れるのに走らない選択をした俺。
どんな顔をして彼女に陸上を辞めたと言えばいいのか・・・わからなかった。
思えばそれがよくなかったんだ。俺は逃げていた。
その時はそれが正解だと思っていた。
あの時、千夏は一体何を思っていたんだろう。
千夏がいなくなったのはそれから一ヶ月もしないうちだった。
陸上部のグループラインに届いたメッセージはいきなりだった。
『突然ですが、父の仕事の都合で昨日で学校を辞めました。今日、県外に引っ越します。みなさん、今まで本当にお世話になりました。ちゃんと挨拶もしないでごめんなさい。逃げてごめんなさい。皆さんのことは忘れません。 千夏』
目の前が白くなった。
なんだこれ。
俺は何も聞いていない。
どういうことだよ、聞いてないぞとすぐに送ったメッセージも電話も彼女に届くことはなかった。
ラインはブロックされたのかアプリを削除されたのか。スマホの電源も入っていない。そのうちに携帯も解約されてしまったらしい。
誰も彼女の居場所を知らず、彼女の担任は口止めされていると言って県外に出たとしか教えてくれない。
俺個人に宛てたメッセージもなくーーー彼女は俺の前から完全にいなくなってしまった。



