「あのさ」
最寄りの駅まで徒歩5分。
黙って歩くつもりだったのに京平先輩は私をちらっと見ると言いにくそうに声を出した。
「選ばれなかったって何?それと、一旦は叔父さんの家から通うつもりだったんだろ。急だったかもしれないけど、引っ越しのことだけじゃなくて自宅売却のことも何で樹は何も知らないわけ?」
しつこい。
「また、その話ですか。もう話したくないって言ったのに」
「ごめん、どうしても納得いかない」
ムッとして口を尖らせると京平先輩は眉を下げる。
「初めはね、親の引っ越しの話は先輩にしなくていいと思ってたんです。私は引っ越すわけじゃなかったから。樹先輩は受験生だし余計な心配させたくなかったんで。自宅から叔父の家に住むところが違っても私が通学に使う駅は同じだったし。
あと、もう一つの質問の方ですけど、
私がいなくなる前もいなくなってからも、樹先輩は放課後急いで帰ったりする日があったはずですよ。何を言いたいかはわかりますよね…ホントに私はもうこれ以上話す気はありませんから」
考える仕草をする京平先輩から顔を背けてスタスタと歩みを早めた。
「あ、待てって。駅まで一緒に行くから」
何か気が付いたのか慌てて追いついてきた京平先輩が「悪かった」と小さな声で言う。
「二度と聞かないで下さいね」
ああ、としぶしぶと京平先輩は頷いた。
最寄りの駅まで徒歩5分。
黙って歩くつもりだったのに京平先輩は私をちらっと見ると言いにくそうに声を出した。
「選ばれなかったって何?それと、一旦は叔父さんの家から通うつもりだったんだろ。急だったかもしれないけど、引っ越しのことだけじゃなくて自宅売却のことも何で樹は何も知らないわけ?」
しつこい。
「また、その話ですか。もう話したくないって言ったのに」
「ごめん、どうしても納得いかない」
ムッとして口を尖らせると京平先輩は眉を下げる。
「初めはね、親の引っ越しの話は先輩にしなくていいと思ってたんです。私は引っ越すわけじゃなかったから。樹先輩は受験生だし余計な心配させたくなかったんで。自宅から叔父の家に住むところが違っても私が通学に使う駅は同じだったし。
あと、もう一つの質問の方ですけど、
私がいなくなる前もいなくなってからも、樹先輩は放課後急いで帰ったりする日があったはずですよ。何を言いたいかはわかりますよね…ホントに私はもうこれ以上話す気はありませんから」
考える仕草をする京平先輩から顔を背けてスタスタと歩みを早めた。
「あ、待てって。駅まで一緒に行くから」
何か気が付いたのか慌てて追いついてきた京平先輩が「悪かった」と小さな声で言う。
「二度と聞かないで下さいね」
ああ、としぶしぶと京平先輩は頷いた。



