「ごめん、遅れたっ!」
個室のドアが開いて遅れてきた最後の一人の顔を見て私は背筋が凍りついた。
嘘でしょ。
それはまさかのーーー京平先輩。
正面に座る上浦先輩の楽しい話と美味しい料理に舌鼓をうってご機嫌になっていた私の気分は急降下どころか地獄に落とされたようだ。
推薦で大学に行くと聞いていたけど、まさかこの地域だったとは。
あの頃いくら興味なかったとはいえどこに進学するか聞いておかなかったのは失敗だった。
「おっせーな、京平。教授からうまく逃げることも覚えないとこの先辛いぞ」
上浦先輩のお友達がケラケラと笑って京平先輩に自分の隣の空いている席をすすめる。
「そうですね。ほんとに参りました。逃げ出せないかと思った」
周りからおしぼりをもらって手を拭き飲み物をオーダーしている。
あの頃短髪だった髪は伸びていてワックスか何かで少し固めてあるみたい。ほとんどスポーツウエアと学制服姿しか見たことがなかったけれど、間違いない。京平先輩だ。
男子チームと話していてまだ女子チームにいる私に気が付いていないけれど、気付くのも時間の問題だろう。
どうしよう。
逃げる?
でも、立ち上がった途端に気が付かれてしまうんじゃないだろうか。
ううん、私は何も悪いことはしていないはず。
でも、あの頃の私と樹先輩を知っている人には会いたくない。
どうしようと悩んでいる間に京平先輩の頼んだ生ビールが届き、もう一度乾杯をとみんなグラスを持ち上げている。
個室のドアが開いて遅れてきた最後の一人の顔を見て私は背筋が凍りついた。
嘘でしょ。
それはまさかのーーー京平先輩。
正面に座る上浦先輩の楽しい話と美味しい料理に舌鼓をうってご機嫌になっていた私の気分は急降下どころか地獄に落とされたようだ。
推薦で大学に行くと聞いていたけど、まさかこの地域だったとは。
あの頃いくら興味なかったとはいえどこに進学するか聞いておかなかったのは失敗だった。
「おっせーな、京平。教授からうまく逃げることも覚えないとこの先辛いぞ」
上浦先輩のお友達がケラケラと笑って京平先輩に自分の隣の空いている席をすすめる。
「そうですね。ほんとに参りました。逃げ出せないかと思った」
周りからおしぼりをもらって手を拭き飲み物をオーダーしている。
あの頃短髪だった髪は伸びていてワックスか何かで少し固めてあるみたい。ほとんどスポーツウエアと学制服姿しか見たことがなかったけれど、間違いない。京平先輩だ。
男子チームと話していてまだ女子チームにいる私に気が付いていないけれど、気付くのも時間の問題だろう。
どうしよう。
逃げる?
でも、立ち上がった途端に気が付かれてしまうんじゃないだろうか。
ううん、私は何も悪いことはしていないはず。
でも、あの頃の私と樹先輩を知っている人には会いたくない。
どうしようと悩んでいる間に京平先輩の頼んだ生ビールが届き、もう一度乾杯をとみんなグラスを持ち上げている。



