『市立天文台の星空観測会に行かないか?』


あれから私は何度か山下さんとラインのやり取りをしていて、そのうち段々と学食で出会えば一緒に食事をしたり、カフェで勉強を教えてもらうくらい親しくなっていた。
ユキやいづみが一緒の時もあれば、私だけだったり、山下さんのお友達が一緒の時もある。実際、彼は気遣いの上手なよい先輩だった。

山下さんから誘われたのは私たちが十分親しくなってきた、そんな時だった。

山下さんからのメッセージには観測会の資料が添付されていた。

『星のソムリエによる星空ミーティング』

星空、ソムリエ、星空ミーティングという言葉に魅かれる。
前回は始まる直前で逃亡する羽目になって星空なんて見ていないし。

『恵美さんの予定を聞いてみます』

私がすぐに返信をすると、犬がお辞儀をしているスタンプが戻ってきた。

このところの山下さんとのやり取りで分かったことがある。
山下さんは恵美さんに好意を持っているのだ。

山下さんが私を誘うのは私をダシに使って恵美さんと接触を持ちたいからということと、二人の間に何かがあって恵美さんが山下さんと距離を置こうとしているらしくその状況を改善したいとおもっているらしいことだ。
それと、これが結構重要なのだけど、山下さんがいい人だということ。

話していて楽しいだけでなく、気配りもできるし、私だけじゃなくてユキやいづみにも親切であんなに警戒していたいづみの心も解していた。

見せかけの優しさというわけじゃなくて、周りをしっかり見ていて必要なときに必要な手助けをしてくれると言う感じ。
とにかくいいお兄さんなのだ。

そんなお兄さんの手助けをしてあげたい、そんな気持ちになった。