「ところで、水口さんって映画とかスタッフロールも最後まで観るタイプ?それとも観ないで帰るタイプ?」
出て行こうとした井本さんが振り返る。
「映画もコンサートも最後まで観るタイプです」
「そう、良かった。この上映は最後の最後までしっかりとじっくり目を離さないで見てくださいね」
「井本さん。もう、それ以上は何にも言わなくていいですから」
全く余分なことを…と樹先輩が眉間に深い皺を寄せて背中を押して井本さんをドームから追い出そうとしている。
「いいから早く上映を始めて下さい」
「えー、もっと彼女と話していろんな情報入れてあげたいんだけど~」
「それが余分なことだと言ってるんです。いいから早く」
ぐいぐいと背中を押す樹先輩に井本さんはにやにや笑いを隠そうともせず、私と樹先輩に視線を送ってくる。
「もう、いい加減にしないと、俺本当にスーパーノヴァから手を引きますよ」
「あ、待て。それは困る。樹君に手を引かれるとハイランド教授ともコンタクト取れなくなるし。いや、もうからかわない、ごめん」
樹先輩の言葉に手のひらを返したように井本さんがわかりやすく狼狽えると「すぐ始めるから二人も準備して」と脱兎のごとくドームを出て行った。
飛び出していった井本さんの後ろ姿を呆然と見送っていると、「あの人のことはマジで気にしなくていいから」とため息と共に樹先輩の声がする。
「いいんですか?」
「うん、いい」
親しげな年上の男性をすっぱりと切り捨てたような返事にくすりと笑いそうになる。どうやらかなり親しいらしい。
出て行こうとした井本さんが振り返る。
「映画もコンサートも最後まで観るタイプです」
「そう、良かった。この上映は最後の最後までしっかりとじっくり目を離さないで見てくださいね」
「井本さん。もう、それ以上は何にも言わなくていいですから」
全く余分なことを…と樹先輩が眉間に深い皺を寄せて背中を押して井本さんをドームから追い出そうとしている。
「いいから早く上映を始めて下さい」
「えー、もっと彼女と話していろんな情報入れてあげたいんだけど~」
「それが余分なことだと言ってるんです。いいから早く」
ぐいぐいと背中を押す樹先輩に井本さんはにやにや笑いを隠そうともせず、私と樹先輩に視線を送ってくる。
「もう、いい加減にしないと、俺本当にスーパーノヴァから手を引きますよ」
「あ、待て。それは困る。樹君に手を引かれるとハイランド教授ともコンタクト取れなくなるし。いや、もうからかわない、ごめん」
樹先輩の言葉に手のひらを返したように井本さんがわかりやすく狼狽えると「すぐ始めるから二人も準備して」と脱兎のごとくドームを出て行った。
飛び出していった井本さんの後ろ姿を呆然と見送っていると、「あの人のことはマジで気にしなくていいから」とため息と共に樹先輩の声がする。
「いいんですか?」
「うん、いい」
親しげな年上の男性をすっぱりと切り捨てたような返事にくすりと笑いそうになる。どうやらかなり親しいらしい。



