「山下さん、私どうしたらいいんですかねえ」

もう訳が分からなくなってお行儀が悪いのは知っているけどテーブルに片肘をついて頬をのせた。

「何言ってんだ。千夏ちゃんがすることはただ一つ。倉本君から連絡があったら会う約束をすればいい。ただそれだけ」

「でも、会ってどうするんですかぁ。あっちはもう恋人とか、もしかしたら奥さんがいるかもしれないんですよ」

「そうやって悪い方に考える気持ちもわかるけど、もう何年立ち止まってると思ってるんだ?どっちみちここで会っておかないと先に進めないだろ。ほら、覚悟決めような」

優しいけれど容赦ない山下さんの言葉に私はうなだれた。

「恵美さんに会いたいー」と弱音を吐けば「俺も会いたいよ。恵美の笑顔に包まれたい」とまたのろけが降ってきた。あなたはたった一晩会えないだけじゃないか。

「リア充はタンスの角に足の小指をぶつければいいと思う」

横目で睨み盛大にため息をついてやると「それだけ悪態をつく元気があれば大丈夫だよ」と笑われる。

「・・・本当に樹先輩から連絡あると思います?それにこれから京平先輩とどういう距離感で付き合っていけばいいのかもうわからないし」

私はそれも気になっていた。

樹先輩は私にイギリスから帰国した1年前に連絡を取ろうとしていたというのだから。
それから1年。
私の本意じゃないけど、会いたくないと拒否されてもう1年たっているのだ。
もう私の存在なんてどうでもいいものなっているんじゃないんだろうか。