さっきの電話・・・・

京平先輩は電話ですぐに私に謝ってきた。

ーーー実は樹先輩は1年前に帰国していた。

そして私に会うために京平先輩に私と連絡を取って欲しいと頼んでいたのだという。

それを私に伝えなかったのは京平先輩だ。
私と樹先輩を繋ぐもの、その唯一が京平先輩の存在だった。

樹先輩は京平先輩から「千夏はもう会いたくないと言っている」と聞いてどう思っただろう。

「どうしてそんなことを」
そう京平先輩に言えば
「お前のことが好きだったからに決まってんだろ。・・・だから邪魔したんだよ」
寂しそうな声が戻ってきた。

「・・・嘘」

「嘘じゃない、俺だってそんなことになるって思ってなかった。お前とは友達だと思ってた。でもあの偽彼氏の役をやった時に気が付いたんだ。お前のこと樹に渡したくないって」

何言って・・・。
私は驚きでうまく声が出せない。

「でも、樹への罪悪感でお前に俺の気持ちをはっきりと伝えることもできなかった。俺は・・・卑怯だった。ごめん、悪かった。樹にもお前にも合わせる顔がない。本当はずっと気になってた。勝手に二人のこと引き離して、それでお前のこと自分のものにする勇気もないしやってる事支離滅裂だ。結局お前だけじゃなく樹からも逃げたんだ」

そんなことを言われて、私も息を呑むだけで何を言っていいのかわからない。
全てが予想外だった。

「ごめん、千夏。・・・俺のことは許さなくていい。
樹には俺から連絡しておく。きちんと説明するからアイツに会ってやって」

声を出すこともできない私の返事を待たずに電話は切れたのだった。