「どうだった?」
電話を切って席に戻った私に山下さんは意地悪い笑顔を見せた。
「これ、知ってたんですか?」
「いや、もしかしたらって気が付いたのは会社で倉本君の名前を見つけた時だよ。俺は千夏ちゃんの先輩と違ってずっと黙ってたわけじゃないさ」
わざとらしく大きなため息をついて見せると、山下さんはメニューを私に手渡した。
「ほら、デザートでもアルコールでも千夏ちゃんの好きなものを追加していいから」
「もうそんな食欲なんてありませんよ」
こんなことになったのが目の前にいる山下さんのせいじゃないのはわかっているけれど、今の自分には八つ当たりする人間が必要だった。
さっき京平先輩に言われたことが信じられない。
ワインのお代わりを頼むと、
「どうして気が付いたんですか」と聞いてみた。
「倉本君ってさ、千夏ちゃんとの過去の話を聞く限りちょっと優柔不断っていうか優しすぎるって思うけど、あれから彼自身よく考えて反省したんじゃないかな。それで、もう千夏ちゃんに対しては不誠実なことをしないんじゃないかと思っててさ。約束した2年後の再会は無理だってきちんと事前に連絡してきたのにその後それっきりだっていうことが不自然で。どういうことだって前から不思議に思っていたんだよね」
「それはもう過去の話でどうでもよくなったとか、一応私とは和解出来たし、今は恋人がいて幸せに暮らしてるからじゃないかなとかって私は思ってましたけど」
「でもさ、実際違っただろ?」
「・・・そうですね」
電話を切って席に戻った私に山下さんは意地悪い笑顔を見せた。
「これ、知ってたんですか?」
「いや、もしかしたらって気が付いたのは会社で倉本君の名前を見つけた時だよ。俺は千夏ちゃんの先輩と違ってずっと黙ってたわけじゃないさ」
わざとらしく大きなため息をついて見せると、山下さんはメニューを私に手渡した。
「ほら、デザートでもアルコールでも千夏ちゃんの好きなものを追加していいから」
「もうそんな食欲なんてありませんよ」
こんなことになったのが目の前にいる山下さんのせいじゃないのはわかっているけれど、今の自分には八つ当たりする人間が必要だった。
さっき京平先輩に言われたことが信じられない。
ワインのお代わりを頼むと、
「どうして気が付いたんですか」と聞いてみた。
「倉本君ってさ、千夏ちゃんとの過去の話を聞く限りちょっと優柔不断っていうか優しすぎるって思うけど、あれから彼自身よく考えて反省したんじゃないかな。それで、もう千夏ちゃんに対しては不誠実なことをしないんじゃないかと思っててさ。約束した2年後の再会は無理だってきちんと事前に連絡してきたのにその後それっきりだっていうことが不自然で。どういうことだって前から不思議に思っていたんだよね」
「それはもう過去の話でどうでもよくなったとか、一応私とは和解出来たし、今は恋人がいて幸せに暮らしてるからじゃないかなとかって私は思ってましたけど」
「でもさ、実際違っただろ?」
「・・・そうですね」



