星空電車、恋電車

「この間会った時にも話をしたかったけど、運悪く桜花に邪魔されたし、こっちに戻って京平に聞いた千夏のバイト先に会いに行ったんだけど千夏はいなくて。仕方なく、こうして京平に連絡を頼んだ」

カフェに樹先輩が来てくれたってこと?
それって?
「別にもう謝ってもらわなくてもいいんですけど」

「いや、俺は全然わかってなかった。あの頃の千夏の気持ちに。どれだけ謝っても足りない。けど、俺の一番はいつだって千夏だった。それなのに、あの頃は桜花を優先してた」

俺の一番は千夏?
そんなの今さら欲しい言葉じゃない。

「留学するんですよね、もう過去のことはいいですよ。私がいいと言ってるんだからスッキリしました?これで区切りをつけて旅立つことができますか?」

「千夏」

ちょっと意地悪な言い方だけどそんな言い方しかできない。
樹先輩は過去を清算して自分がスッキリしたいだけなんだろうと思うのだ。

「そう言う事じゃない。そうじゃないんだ」

「・・・」

「千夏、俺は今でも千夏のことが好きなんだ」

電話の向こうの声に一瞬、息が止まった。

「な、な、なーーーー」

樹先輩は何を言ってるんだろう。

「わかってる。勝手だってことは百も承知だし、そんな権利もないことも知ってる」

「だったらーーー」

「だから、留学中にもっと大人になってくるから。だから帰ってきたら会ってくれないか。俺はずっと千夏のこと好きでいるけど、千夏は好きにしていていい。その時に千夏に恋人がいてもいい、結婚しててもいい。ただ会って俺が成長したかを見て欲しいんだ」

何て勝手なことを言ってるんだろう、この人は。