樹先輩に思い切りイヤな顔を見せてしてしまったけれど、もう関係ないからいいよね。今さら樹先輩に猫を被る必要もない。
有り得ない程の面倒な状況に私は呆れて首を左右に振ってじろりと樹先輩に冷たい視線を送った。
「千夏、ちょっと、ちょっと待って。桜花、なんでここに?」
隣に立つ樹先輩の口から狼狽するような声が出たことで彼女の顔と先輩の顔を交互に見てしまう。
樹先輩の表情から彼女とのこの出会いは約束されていたものではなかった?
まさか本当に偶然?
それが正解なのかはわからない。
「偶然だね、いっくん」
桜花さんは可愛らしい花のような笑顔を見せる。
どうやら待ち合わせじゃないみたいだけど、樹先輩は浮気現場を見つかった感じなんだろうか、ひどく動揺しているらしく私にチラチラと視線を向けてくる。
でも、私自身はやましい所など微塵もないのだから堂々としていればいいと気持ちを奮い立たせた。
彼女は彼の元に駆け寄ると、早速するりと樹先輩の右腕を絡めとり満面の笑みで小首をかしげる仕草をする。
「いっくん。よかった、ちょうど会いたかったの。ねえ、今から時間ちょうだい?」
その姿に血の気が引き胸の奥がずきりと痛み始める。
…ああ今日もこの子は完璧だ。
可愛い系女子パワーを炸裂し自分の彼氏に近付く女を攻撃し撃退しようとしている。
軽く会釈をしてみたけど、いっそ気持ちいいほど無視され、樹先輩は眉間にしわを寄せて「桜花」と低い声を出した。
「ねえ、ねえ」
彼女の甘ったるい声。
樹先輩の顔はさらに眉間に力が入ったように見える。
「ねえ、いいでしょう?」
そこでやっとチラリと横目で私を見た彼女。
私の方は彼女の甘えた声に気分が悪くなりそうだ。
この子、初対面の時もこんな感じだったっけ。
もうマジで勘弁して欲しい。
有り得ない程の面倒な状況に私は呆れて首を左右に振ってじろりと樹先輩に冷たい視線を送った。
「千夏、ちょっと、ちょっと待って。桜花、なんでここに?」
隣に立つ樹先輩の口から狼狽するような声が出たことで彼女の顔と先輩の顔を交互に見てしまう。
樹先輩の表情から彼女とのこの出会いは約束されていたものではなかった?
まさか本当に偶然?
それが正解なのかはわからない。
「偶然だね、いっくん」
桜花さんは可愛らしい花のような笑顔を見せる。
どうやら待ち合わせじゃないみたいだけど、樹先輩は浮気現場を見つかった感じなんだろうか、ひどく動揺しているらしく私にチラチラと視線を向けてくる。
でも、私自身はやましい所など微塵もないのだから堂々としていればいいと気持ちを奮い立たせた。
彼女は彼の元に駆け寄ると、早速するりと樹先輩の右腕を絡めとり満面の笑みで小首をかしげる仕草をする。
「いっくん。よかった、ちょうど会いたかったの。ねえ、今から時間ちょうだい?」
その姿に血の気が引き胸の奥がずきりと痛み始める。
…ああ今日もこの子は完璧だ。
可愛い系女子パワーを炸裂し自分の彼氏に近付く女を攻撃し撃退しようとしている。
軽く会釈をしてみたけど、いっそ気持ちいいほど無視され、樹先輩は眉間にしわを寄せて「桜花」と低い声を出した。
「ねえ、ねえ」
彼女の甘ったるい声。
樹先輩の顔はさらに眉間に力が入ったように見える。
「ねえ、いいでしょう?」
そこでやっとチラリと横目で私を見た彼女。
私の方は彼女の甘えた声に気分が悪くなりそうだ。
この子、初対面の時もこんな感じだったっけ。
もうマジで勘弁して欲しい。



