ホワイトデーの前日、京平先輩からラインが入った。
『明日何してんの?』
『もちろん、バイトです』
バレンタインほどではないけれど、ホワイトデーもかなり忙しい。このところ販売コーナーは私は毎日バイトに入っている。
『へー。明後日は?』
『何ですか、ホワイトデーのお返しでもくれるんですか?』
からかうつもりでウサギがニヤニヤしているスタンプを送ると、
『そうだよ』と返ってきて驚く。
高校生の頃は京平先輩から義理チョコのお返しをもらったことがないから今回も実は何も期待していなかった。
私があげたチョコはこのカフェで販売しているものを社員割引で買ったから味と品質はいいけれど、そこにもちろん愛情のような気持ちはない。
あまりに美味しくてお返ししたくなったんだろうか。
『なんかすみません。冗談だったんですけど、ホワイトデーのお返しを催促したみたいで気が咎めます』
『もう準備してあるから、とにかく受け取れよ』
受け取れなんてずいぶん上からだけど、まあいいだろう。
お返しは京平先輩がお店に持ってきてくれることになった。



