涼香が蓮と会食に出かけた後、美玲は匠に胸の内を明かしていた。

「匠さん、私もし…涼香の説得がダメだったら、家出ようと思ってるの…」

「っ、それは…感心しないな。美玲、高瀬を信じよう、家を出るなんて事を考えるのはよくないよ。心配なのは分かるけど。大丈夫、俺は君と一緒にいたいと思うのは変わりないよ」

「匠さん…」

「高瀬が、佐伯社長を知っているのには驚いたが、それなら希望があるかもしれない。それに賭けよう」

「涼香、父の性格よく知ってるみたいだったから、さっき言ってた事は、もしかしたら言われるかもしれない。そうなったら匠さん、いいんですか?」

「…いいよ。美玲と別れる気なんてないからな。大丈夫」

匠は美玲の手を握り、抱き寄せた。そしてゆっくりと唇を重ねた。見つめあった。

「大丈夫だから、仕事に戻りなさい」

「はい…」

匠に仕事握り戻るよう言われた美玲は、室長室を静かに出て行った。