その言葉を聞いて、俺は衝撃を受けた。

いつも、社長の息子と言われ、後継と言われ、誰もが腫れ物に触るように接してこられてきていた俺は、一人の人間として扱ってもらえる事が嬉しかったんだ。
特に女性に関しては、あわよくばと結婚を意識して近寄ってくる女が大半どったから。

そんな考え方が出来る彼女をもっと知りたいと思った。だから、アスランのパーティにも誘ったんだ。あれは職権乱用だったが。

そして、男慣れしていない、その初心な所に惹かれたのも事実だった。
一度、涼香が友達と食事に出かけている時、偶然に俺も匠と一緒になった事があった。涼香は俺達がいる事に全く気がついてなくて、自分を出して話をしていた。
普段の涼香を知る事が出来た事で、目が離せなくなったんだ。
笑っている所をもっと見たいって。そして俺に笑いかけてほしいって。

そんな俺の気持ちに気がついたのが、匠だった。
涼香にちょっかいを出して、もう少しの所で、匠を殴ってしまいそうになった事もあった。

全ては俺の…如月商事を思っての行動だと分かっていても、頭で分かっていても、納得出来なかった。

まぁ、あれがあったから自分の気持ちにちゃんと気付けたんだけど、あの時はそんな余裕もなかったな、俺は。