「お嬢様…有里華に、芝居は出来ないかと。だからどんな理由にされたのか、聞きたかったので。しかし、その理由なら大丈夫ですね。香田の立場を捨てられる覚悟が出来たと言う事でしょうか…」

「なっ、で、出来るわよ!それぐらい!」

「この間、香田様との仲はどうなってると聞かれて、返事出来なかったのは、誰ですか?」

「うっ…」

「ふふ、仲がいいですね。安心しました。私の方も香田の家を出る為に、時間稼ぎを有里華さんにしていただいて助かりました。香田の家に未練はないですからね。それにアメリカに友人がいるので、そこで仕事も見つかってるんですよ。私も心に決めた女性がいるので、彼女を幸せにしたい、ただそれだけです」

晴々とした表情で、彼女の話をする達也さんは初めて会った時より素敵に見えた。

それを慎二さんも、深く頷いていた。

「来週、お屋敷に伺います。じゃ」

そう言うと、達也さんは帰っていった。