涼香も大変だけれど、美玲もいろいろあるみたいだった。

氷室さんとの事を聞こうとしたけれど、美玲はあまり深くは話そうとはしなかった。


美玲とあってから数日後、達也さんから連絡があった。

私は慎二さんと一緒に達也さんと会った。


「こんにちは。有里華さん、そして彼氏さんかな?」

「いえ、私は執事の葛城と申します」

「隠さなくても分かりますよ。どうぞ」

百戦錬磨の慎二さんも、歯が立たないのか、有無を言わさない達也さんに、着席を促されるまま私の横に腰をかけた。

「達也さん…何かあったんですか?」

慎二さんが、座ってすぐに私は達也さんに話しかけた。

「あ、やっと私の足元がしっかりとしてきたので、お見合いの件を断ろうかと、私が悪者になりますので、有里華さんは知らなかった事として対応していただけますか?」

「もう…大丈夫なんですか?」

「あの…失礼ですが、香田様。お断りの理由は何になさるつもりですか?」

私が話すと同時に横に座っていた慎二さんが声を出した。

「何に…ですか。私がお見合いの断りを入れるだけです。華道をするつもりはない、と。別の道を歩むので結婚は出来ないと」

「そう…ですか。私の立場からこんな事、失礼だとは思いますが、話させていただきます」

執事としての立場は守りつつ、慎二さんは言葉を選びながら達也さんに話しかけていた。