「想像なんてつかないでしょ!」

「いや、だいたいの想像はつくでしょ」

そう言いながら、室長は信号が青に変わったので車を発進させた。

「高瀬と同じって言ったのは、新鮮なんだよ。俺にしたら、そんな態度されるのがね。周りの女性で君ら2人だけだよ」

それって…
けなされてる?私と涼香は?

「褒めてんだよ?いつも気取ってる女性ばっかりだからね。そうやって素でいてくれる女性って」

「は、はぁ」

小さくため息をつくと、室長は重ねて言ってきた。

「まだ納得出来ない?君みたいな女性はいいね、って言ってるんだよ」

「い、いいね、って…どうすれば…」

ダメだ。
頭の中が、グチャグチャ。

頭の整理がつかないまま、私の住むマンションに着いた。

「じゃあ、ここで…ありがとうございまし…」

車を降りようとした私の腕を室長が掴んだ。

「あ、あの…」

「佐伯…」

びっくりした私は、室長の顔を見た。

「これ…俺の連絡先。今度食事でも行かないか?」

「え?」

掴んだその手に、室長の名刺があった。

「あ、あの…」

「佐伯と話がしたいんだ。ダメか?」

「い、いや…ダメなんて…そんな」


私は頷くと、慌てて車を降りた。