社内でも狙っていた女子達は多いが、誰にもなびかないのだ。


女子達は諦めモードで社外で彼氏を見つけたり、社内の他の男子と仲良くなり付き合いが始まったパターンが多々ある。


「志田さんこそ、残業や休日出勤続きじゃ彼氏が怒りませんか?」


「い、居ないですから! ……居ないからこそ、残業出来るんです」


淹れたてのカフェラテを両手で持ち、西さんに背中を見せて、少しだけ拗ねたような態度で歩き出した。


彼氏など居ませんとも!


西さんのように言い寄ってくれる方々が居ないし、作ろうと思えば直ぐにでも作れる立ち位置の人間じゃないんです、私は……!


だから、残業や休日出勤は大歓迎なんです。


……なのに、何故、西さんから聞かれると不快に思うんだろう?


「ふふっ、そうだよね。お互い居ないからこそ、休日は自由に出勤出来る」


私が先に自分専用のデスクの椅子に座った後に左隣の椅子に座り、西さんは背もたれに思い切りふんぞり返って背伸びをした。


それからカフェラテを一口含み、カフェラテを飲んでいる私の顔をジロジロと見回す。


急に何だろう?


隣に座る事など滅多にないし、こんなに会話しているのも初めてで急に緊張感が高まってしまう。