「ツバサ、起きてる?」
和希の声がした。
「起きてるよ。おかえり」
「ただいま。夕食何食べよっか?」
「煮込みハンバーグは? 豆腐ハンバーグの」
「いいね。材料ある?」
「あると思う。挽き肉多目にあるから小さいハンバーグも作って明日のお弁当に入れよう」
そんな会話をしつつ、キッチンへ向かう。
材料があるのを確認し、和希と一緒にツバサは調理を始めた。

和希の家は和希とお父さんだけ。そのお父さんは仕事人間で、なかなか一緒に食事を摂ることはない。

「そういえばツバサ、レオさんとアヤさん、パウンドケーキ喜んでたよ」
「えっホント?」
「嘘吐いてどうするの」
「そっか……よかった」
「明日は一緒にお昼食べよう」
「いいの? 部外者なのに」
ツバサがそう言うと、和希はさも当たり前のように、小さく笑いながら言った。
「アヤさんがツバサも一緒にって言ってたんだよ。だから今日残念がってた。そもそも俺の従妹なんだし」
「菅さんが……あのさ、神崎さん、は?」
「やっぱり」
「え?」
「好きなんでしょ、レオさんのこと」