「お疲れ様です。これ、差し入れの飲み物とお菓子……」
ライブと物販時間を予定より遅れて終え、ツバサは和希達に差し入れを渡した。
「あ、ツバサの手作りクッキーだ」
「すごい、市販のやつみたい」
「レオさんは食べないの?」
「あー?」
マイクを片付けているレオが、ツバサ達の方へ歩み寄る。
「あの、手作り嫌いでしたら全然食べなくて良いので……」
ツバサが慌ててそう言うと、レオはぶっきらぼうに言い放った。
「別に、嫌いなんて言ってねぇだろ」
そう言ってレオは、ツバサの作ったクッキーを食べてくれた。なんだか心が満たされた、ような気がした。

レオの運転で、ツバサ達は帰宅した。
お風呂に入っているときも、ベッドに入った今も、あの、力強い歌声が頭から離れなかった。
眠れなかった。

ツバサは、ベッドから降りた。