「メリークリスマス!」
「はい?」
突如サンタクロースの格好をして病室に現れた三人を見て、ツバサの脳内はクエスチョンマークで埋め尽くされた。


お昼のこと。
「レオ達はクリスマスどうするの?」
「はあ? クリスマス?」
学校にて、いつものように三人で昼食をとっていたレオに、絢斗が詰め寄るように尋ねた。
レオはカレーパンを飲み込む。
「別に何もねぇけど」
「恋人居るのにクリスマス予定なしなんて、ツバサちゃん寂しいと思うよ~」
「……」
絢斗の言葉に、レオは押し黙る。
そして数秒考えた後、前を向いた。
「サプライズパーティーするぞ」


「それでサンタクロース……」
「ちゃーんとケーキも買ってきたよー! カットケーキだけど」
「ありがとうございます。そうだ、今日5時からクリスマスライブをロビーで行うみたいで……。弦楽五重奏なんですけど、観ていきませんか?」
「あ、これ?」
これ、と言った和希の視線の先には、Quintet The sound of the bell と書かれたビラがあった。
「そう。今回はポップス等をメインに演奏してくださるそうです」
「へえ、いいね。折角だし聴いていこうよ!」
「行きたい」
「……ツバサが行きたいなら」
「いいね彼氏っぽいよレオ!」
「アヤお前の分のケーキ無しな」
俺が食う、とレオが言うと、絢斗は慌ててすみませんと謝ったのだった。