大好きだって言えたら。

キミが何も知らなかったら。


でも、私も悪いんじゃないのかな。


「はーい!ここが嵐山でーす!まず、点呼を取るので、集合してくださーい」
と他クラスの先生が言い、みんなが四列に並び、地面に座った。
そして、学級委員の二人が人数を数えていく。数え終えたら、先生に報告。そのあとは。
「じゃ、全員が揃ってるみたいだから、これからのことを説明する。まず、ここからは行動グループに分かれて、それぞれのチェックポイントに向かう。そこには、各クラスの先生や顧問がいるので、リーダーが”来ました”と伝えてください。そのあとは、各場所で自由に散策。各々、お金は持ってるよな。食べ歩きは禁止、あとカメラを各グループに渡すが、丁重に扱えよ。いいな?」
「はーい」
とみんなが答えた。
そして、嵐山校外学習は始まる。


「カメラは貰ってきたよん♪」
と山崎さん。
「マップもあるぜ!」
と中原くん。
「あの。一応、メモも用意しました」
と川下さん。
「じゃ、行くぜ」
と加藤くん。
「うん!出発!」
と私達は歩き始めた。

彼氏なんかじゃない。ただのクラスメイト。そう意識して、加藤くんに接することにした。
こんな私じゃ、恋愛なんてできない。そう自覚して、好きだなんて言葉は、私の中から消した。
なんて思っていると。
「ねぇ、柚希ー♪」
と言いながら、山崎さんは柚希の腕に抱きついた。わざとなのか、自分の胸を押し付けている。そのせいか、柚希は鼻の下が伸びている。
なによ。ニヤニヤしちゃって。やらしいし、こっちが迷惑です。
どうして、私が迷惑なのか。そのときは、頭にもなかった。