ボクは初恋をまだ、知らない。

「太陽先生って、そんな顔もするんですね。」

なんて言うと、浅村先生はまたケラケラ笑った。

「浅村ぁ!月村を使うなよ…っ!」

「生徒に見られてやんのー!」

小学生のからかい合いをしてるみたいで、
思わずボクも笑ってしまった。

「太陽先生、頬っぺに手の跡ついてる。」

「………ったく。そこまでだ。」

照れる太陽先生を、可愛いと思ってしまった。

「そういえば、ボク叱られる為に
呼び出されたんですか?」

「え?……いや、ちょっと頼みたい事が」

やっと起き上がった太陽先生は、
机の引き出しから何処かの鍵を取り出して
「ついてこい。」と手招いた。

訳も分からずボクは後を追いかける。

職員室を出る時に、何となく振り向くと
浅村先生がまだ笑ったまま手を振っていた。