美影の家に着いた私は、美影の両親に挨拶をしていた。
「私は、若竹 氷翠と言います。よろしくお願いします」
「あなたが氷翠ちゃん?美影は、いつも楽しそうに、氷翠ちゃんの話をしてるのよ」
「私の話…?」
「あの子が、あそこまで楽しそうに人の話をするのは、氷翠ちゃんが初めてなの」
「…え?」
私は、美影の母親の言葉に首を傾げた。
「美影はな…あまり人や学校での話をしないんだ」
美影の父は、心配そうな顔で私と美影を見る。
「だからね、氷翠ちゃんの話を初めてした時は驚いたの」
「美影は、その日から楽しそうな顔をしているんだぞ。ありがとな」
美影の両親は、同時に満面の笑みを浮かべた。その笑顔の雰囲気は、美影と似ている。
「…ところで、氷翠ちゃん…帰りが遅いこと、両親に言わなくても良いの?」
「言わなくても心配はしないと思います」
「…そう」
「美影、しっかりと氷翠ちゃんを守るのよ?」
「…分かってるよ」
美影は、恥ずかしそうに少し俯きながらそう呟いた。



