その日の放課後、私は図書館に行ってみた。今日は、美影の姿は見つからない。

「司書さん、美影は?」

「今日は、来てないよ…」

「そう…ありがと」

図書館を出ると、私は空を飛んだ。上から、美影を探すために。少し、浮上してみると、魔法学校の屋上に寝転がっている美影の姿を見つけた。

「美影!!」

屋上にゆっくりと着地すると、美影は体を起こして立ち上がった。

「氷翠じゃん、どうしたの?」

美影は笑顔で、私に話しかける。

「…なんで、今日は図書館に居ないの?いつもは居るのに…」

「…気分転換だよ」

美影は、屋上のフェンスに手をかけ、屋上から見える街を見下ろした。

「こうしていると、辛いことや苦しいことを忘れられる。そんな気がするんだ」

美影は優しく微笑みながら、街を見下ろし続けた。

街を見下ろしていた美影が急に、私の方を向き、悲しそうな笑顔を私に向けた。その笑顔は、私の心も悲しくさせる。

「ねぇ、美影…なんで、いつも図書館に居るの?」

「…図書館にいると、すごく落ち着くんだ。本が好きだから」

さらに悲しそうに笑うと、美影は「氷翠」と、私の名を呼んだ。

「紅月さんと、どんな関係なの?」

「…中学生からの親友だと思っていた人」

「親友…そうか……紅月さんにさ、告られる前に…氷翠のことが嫌いって言われたんだ。だから、仲が悪いのかと思っていた」