「真紘おはよー、ってなに1年捕まえてんだよ」
真紘先輩の友達なのだろう、その人は珍しいものを見るように私に目を向けてニヤリと笑う。
「かわいいじゃん、紹介しろよー」
「ダーメ、触んな」
私の肩に触れようと手を伸ばす彼に、真紘先輩はすかさず私の肩を抱き避けさせた。
肩をしっかりと掴むその大きな手に、ドキリと心臓が跳ねる。
「じゃあ悠、また放課後な」
私が戸惑っているうちに真紘先輩は肩から手を離し、そっと笑って先に歩き出した。
抱かれた肩が、熱い……。
不意打ちで触れるから、心臓に悪い。
遠くなる後ろ姿を見つめながら感触を思い出すと、段々ドキドキが大きくなってくる。
「今のはずるいわー。あれはモテるわけだよねぇ」
「って、莉乃ちゃん!?松永くんも!」
その声に左右を見ると、いつの間にか右に莉乃ちゃんが、左に松永くんが立っていた。
い、いつのまに……。しかも今の見ていたんだ。
ひとり照れてる自分まで見られていたかと思うと恥ずかしくなってしまい、いっそう赤くなる頬を隠すように両手で顔を覆う。



