「でも、ここのマネージャーやりたいって子がいっぱいいるって聞きました。その人たちを断ってるってことも。なのに、どうして私なんですか?」
続けてたずねたのは、一番聞きたかったこと。
どうして、私なのか。私じゃなくてもいいはずなのに。
勇気を出してはっきりとたずねた私に、真紘先輩は少し考えて口を開いた。
「そうだなぁ……口で言うより体感してもらう方がわかりやすいかも」
「体感?」
すると席を立ち上がり「ちょっと1曲やろ」と他の3人に声をかける。
「オッケー、どれやる?」
「これがいいかな。わかりやすくて」
それに3人も立ち上がると、それぞれ楽器を手にした。
笹沼先輩はギター、高田先輩はベース、関先輩はドラム……そして真紘先輩がマイクスタンドの前に立った瞬間、それまで柔らかかかった雰囲気が張りつめたものにガラリと変わる。



