「ちょっと松永、言い方きつくない?」
「これくらい言わないと、百瀬のことだし流されてなんとなく入部、とかありえそうだろ」
確かに……。
一見厳しい言い方だけれど、私のことも真紘先輩たちのことも考えたうえでの忠告だ。
それを受け止めながら頷いて、莉乃ちゃんたちと3階の廊下を歩く。
ふと見下ろす中庭では、先ほどの会話通り、せまいスペースでドッヂボールをする真紘先輩を始め2年生の男子たちがいる。
一歩間違えば近くの教室の窓ガラスも割かねない、ある意味スリルのあるドッヂボールだ。
ボールを投げてぶつけて受け止めて、ついには通りすがりの男性教師の頭にぶつけて怒られ追いかけ回されている。
にぎやかな人だなぁ……。
どこか憎めない笑顔を見せる真紘先輩を見て、手元の入部届けに視線を移す。
確かに松永くんの言う通り、断れずに流されてしまうのはよくない。
バンドも音楽もよくわからない私より、やりたい人がたくさんいるのならその人たちがやった方がいいだろう。
……けど。
彼自身が、私を選び誘ってくれた。
それがどうしてなのか、知りたい。
『ちょっとでも知りたいと思ってくれたら、放課後部室まで来て』
怖いけど、緊張するけど。
知った上できちんと、自分で判断しようと決めた。



