「あ、きたきた。おはよー、悠」



すると、すぐそこで待っていたのは昨日と同じ顔……真紘先輩だ。

笑ってひらひらと手を振る彼は、長身と金髪のせいか他の生徒達の中でもとても目立っており、行き交う人々の視線を一心に受けている。



目立つ彼が手を振る相手、となればその視線たちはこちらへも向けられるわけで。

これまでに感じたことのないような無数の視線を感じて冷や汗が出た。



「ま、真紘先輩……おはようございます。どうしたんですか?」

「昨日いきなり帰っちゃったじゃん?で、悠に渡したいものがあってさ」



そういいながら、真紘先輩は左手に持っていた紙を見せた。

そこには『入部届』と書かれている。その用紙から、昨日の話の続きだと察した。



「あの、私入部するとは言ってませんけど……」

「うん、書くのも出すのも悠の自由。けど一応渡しておこうと思って」



真紘先輩はそう笑って、手にしていた入部届けを私に握らせる。