「歌を続けることで、喉の再発を繰り返して何度も立ち止まるかもしれない。それでも、夢なんて叶わないかもしれない」
胸に浮かぶのは、見えない未来への不安ばかり。
「だけど、その度に隣で笑っててくれる?」
その中であなたを照らす光になれるなら。
これ以上の幸せはないから。
「もちろんです」
迷いなく笑って頷くと、真紘先輩は嬉しそうに笑う。
抱きしめる腕にはいっそう力が込められた。
5年後、10年後、20年後の未来は、描いた通りの姿かもしれないし、それとは違うものかもしれない。
だけどどんな形になろうと、私はあなたのそばにいたい。
あなたの隣で、あなたの歌を聴いていたい。
すると真紘先輩は、「あ。あと」とふと思い出すように言った。
「もうひとつ聞きたいんだけど」
「はい?」
緩められた腕の力に彼を見上げると、少し高い位置にある彼の顔は私を見る。



