「私より、先輩たちの顔を見たほうが元気出ると思いますけど……」
「いや、それはないわ」
「うん。男の顔より女子の顔見たほうが絶対元気になる」
私が行っても、と遠慮するけれど、笹沼先輩と関先輩は真剣な顔つきで首を横に振る。
そ、そういうものなのかな……。
でも確かに、私も真紘先輩の様子が気になることも事実。高田先輩もそれをわかって行ってくれたのかもしれない。
そう思い、「わかりました」と頷いた。
「行くときにこれでなにか買って持って行ってやって」
「俺からも……って金がねぇ!仕方ない、俺からはこれを!」
高田先輩からは千円を、笹沼先輩からは未開封のあんぱんを、関先輩からはエナジードリンクを受け取り私は鞄に詰め込んだ。
「じゃあ、すぐ行ってきちゃいます」
「うん。ヒロによろしく」
先輩たちから託され、暗くなる前に行ったほうがいいだろうと私は足早に部室をあとにした。



