「10月の誕生石のトルマリンには、希望とか、潔白・寛大って意味があって、『忍耐と努力による成功の象徴』だそうで……真紘先輩にぴったりだなって、思って」



昨日、お店でその文字を見て、すぐに真紘先輩の顔が浮かんだ。



いつも言葉で希望をくれる、まっすぐで優しいあなた。

いつかあなたの夢が叶うことを願っている。

そのためのひとつになれたらいい。



だから、今伝えるよ。



「いつもありがとうございます……あなたがいたから、私はほんの少し前向きになれました」



真紘先輩があの日、足を止め手を差し伸べてくれたから私は倒れずに済んだ。

寂しさに触れてくれた、言葉をくれたから、悲しみに押しつぶされずにいられた。



あなたはいつも、私の希望。



溢れだす思いに泣きそうになるのをぐっと堪えて顔を上げると、真紘先輩もどうしてか泣きそうな顔で笑った。



「ありがとうは、俺の方だよ」



そしてそうつぶやき、耳にしていたピアスを外し、私があげたピアスをつける。

金色の毛先の間に輝く青緑色の石が、キラキラとしてきれいだ。