真紘先輩とライブに行った、日曜日の夜。

家に帰ってから、私は改めてお父さんと話をした。



勇気を出して伝えたのは、志望校を大学から専門学校に変えた理由。

負担になりたくない、と言った私にお父さんはすごく驚いて、だけどすぐ笑った。



『お父さんは、悠が好きなことと出会って、楽しく生きてくれるのが一番嬉しい。そのための時間は負担でもなんでもないよ』



私のためにと笑ってくれるお父さんの言葉は、真紘先輩の意見と似ていた。

本音を伝えられて、その思いを知ることができてよかったと思った。



そして数時間ほど話し合った末、私は大学へ行きやりたいことを見つける道を選ぶことにした。

そのために、家事は分担しよう、なにかあったらいつでも相談しよう、とふたりで協力して暮らすための約束をした。



その約束ひとつひとつも、きっと彼がいなければ成り立たなかっただろう。