「……一回、お父さんともちゃんと話し合ってみます」
「うん、そうしな。やりたいことをやれる自由な時間って限られてるからさ。与えてもらえるなら、とことん甘えたほうがいい」
軽く言ってみせるけれど、不意に見せた切ない瞳からその言葉に深い意味があるように感じた。
それを問うように真紘先輩をじっと見つめると、真紘先輩は困ったように笑って言葉を続ける。
「俺らのバンド、高校出たら解散するんだ」
「え……?どうしてですか!?」
解散って、もう笹沼先輩たちとバンドはやらないということ?
「俺は家から通える範囲の大学だけど、高田と関は志望大学が県外だし。笹沼は実家のラーメン屋継ぐのに修行入るらしいし」
そっか、それぞれ進路がバラバラなんだ……。
高校を出てからも当たり前に続けて、プロを目指すのだろうという想像をしていただけに驚きだ。
「俺も、普通に大学行って就職して……そのうち歌はやめていくんだろうな」
「えっ、プロ目指さないんですか!?」
思わず本音をそのまま伝えると、真紘先輩は「ぶっ」と吹き出し笑う。



