6組のバンドによるライブは3時間ほどで終わり、地上へ出ると外はすっかり夜になっていた。
繁華街には灯りがともり、人々が行き交う中、私と真紘先輩はふたり駅までの帰り道を歩いていく。
ちなみに笹沼先輩はミカちゃんのバンドと打ち上げに行くのだそう。
私たちも誘われたけれど、真紘先輩が私の帰りの時間を心配して断ってくれたのだった。
今日お父さんいるし、あんまり遅いと心配かけちゃうしなぁ……。
そんなことを考えながら駅に着くと、電車は行ったばかりのようで、次の電車まで10分ほど待つようだった。
電光掲示板で時刻を確認すると、真紘先輩は人のまばらなホームの壁際に置かれたベンチに腰をおろす。
私もそれに続いて隣に座ると、彼は口を開いた。
「悠、ライブどうだった?楽しめた?」
「はい、とっても。バンドマンってかっこいいなって思っちゃいました」
それは、誘ってもらったからとか、そういう気持ちから出る言葉とは違うもの。
あの空間で私が率直に感じた気持ちだ。
「上手いとか下手とかはわからないですけど、みんな音楽が好きなんだなって……それに、いろんな人たちが音楽でひとつになるってすごいです」



