「奏さん」

先生は私を抱きしめたまま話す

「俺も、つい最近半年以上も前に別れた人に
もう一度やり直せない?って言われたんだ」

え?
私の理性が戻り、顔の熱もジワーっと引いていくのが
分かった

だからか、
先生に初めてご飯に誘われた日を思い出した
あの日まで何も言って来なかったのは彼女がいたから
だったんだ

プライベートな話を先生はほとんどしてこなかったから、
私も敢えて聞くことはしなかった

そっか、、、だよね
先生みたいに完璧な人、一人なわけないもんね
そりゃ、彼女の一人や二人いても当然か

なぜか、がっかりしたような、悲しいような
私、もしかして、、、?

「でも、俺も断った。とっくに気持ちは残ってないし
今は大切にしたいひとがいるから」
「大切にしたい人?」

分かってるくせに。
そう言いそうな先生の目は真っ直ぐに私を
捕らえて離さなかった

「奏さんがほしい」

言い終わるとすぐに先生の唇が私の唇と重なる
素直にキスを受け入れた
でも、、、
私の本当の気持ちって?先生のこと好き?
それを確かめたい

私は先生にすべてを預けた