こうして、一気に社会のどん底まできた私たち本庄家は貧乏になり、かつての栄華の余韻など微塵も残っていなかった。


生活が苦しくなった私たちを、まともに仕事をしたことのないお母さん1人の稼ぎで何とかできるわけもないため、私がこうして草伽家に働きに来ているわけだ。



愛莉子とは、まだ本庄グループが倒産していなかった頃、よく企業家のパーティに連れてこられたときから知り合いだった。

あの頃は同じ立場として、建前上お互いに敬意を払って会話をしていたのに……今はこのザマ。


可哀想な境遇である、娘と同学年の私を慈悲で雇ってくれた草伽家には感謝こそしているが、内心とても複雑だ。



「はぁ……あんたも可哀想よね。昔はあんなに豪華な生活をしてたのに」


「……」



私を哀れんだ目で見ながらも、どこか嬉しさを隠しきれていない愛莉子。

私を下に見ることで、優越感にでも浸っているのだ。


自分では上手く隠しているつもりなのだろうが、パーティで養った私の観察力の前にはバレバレ。

一体こいつはパーティで何をやっていたのか……